「平等主義は正義にあらず本」で考える現代社会の正義とは?
『平等主義は正義にあらず本』で問い直す「正義」とは
社会学者・山口意友氏による『平等主義は正義にあらず本』は、1998年に葦書房から刊行された社会学の一般書です。帯には「平等主義は必ずしも正義とイコールではない」という挑戦的なメッセージが込められています。
本書のテーマと背景
現代社会において「平等」という概念は、政治・経済・教育のあらゆる場面で理想的な価値として掲げられてきました。けれども、山口氏はその前提に立ち止まり、「平等主義」の一面的な追求がもたらす問題を社会学の視点から検証。
一見、誰にとってもフェアに思える平等主義。しかしその裏には、個々の事情や能力を無視した画一的な正義感、さらには社会的なヒエラルキーや格差の温存に繋がりかねない側面が潜んでいることを指摘します。
なぜ「平等主義は正義にあらず」なのか?
多様な価値観との対立 平等を重視するあまり、多様な個人の事情や選択肢を一律に処理してしまうリスク。
本当の公平とは何か? 表面的な平等よりも、一人ひとりの背景や状況を踏まえた『公正さ』が求められるという考え。
制度の再評価 社会制度が目指すべき正義の姿を改めて問うことで、より実態に即した政策立案の重要性を示唆。
本書が示す未来への示唆
1990年代後半という時代背景を踏まえながらも、本書の問題提起は現代でも色褪せません。グローバル化や多様化が進む今こそ、単なる平等主義に代わる新たな正義論を模索する必要があるでしょう。
『平等主義は正義にあらず本』は、社会学の視野から「正義」と「平等」を改めて考えたい読者にとって必読の一冊です。社会学的知見を通じて、私たちが抱く正義感の根本を揺さぶり、新しい社会のあり方を考えるきっかけをもたらしてくれるでしょう。
* 平等主義の罠* 正義と平等: 欺瞞の代償* 平等信仰の終焉* 正義への道: 平等を疑え* 平等幻想の崩壊
本の情報 ISBN 9784751207024 著者 山口意友 出版社 葦書房 出版年月 1998年03月 サイズ 230P19cm 分類 社会 ≫ 社会学 [社会学一般] 記録日 2013/04/09